いまいずこ




レンタサイクルのかごの中に、大切な帽子を忘れました。

気づいてすぐに取りに戻ったものの、先ほどまで借りていた自転車はもうすでになく

問い合わせたところで、自動返信チャットが一日後くらいに、利用していた自転車が今どこにいるのか教えてくれるだけ。

そしてその「今」は、今今と、今という間に今ぞ過ぎゆくわけで

二度とその自転車には巡り会えない運命なのです。

このような忘却の訪れに、ああ、稽古が始まったのだなと実感しております。

それもそのはず、稽古が始まるとたいていの時間、ぶつぶつぶつぶつ台詞をしゃべりながらそこらを歩いており

意識は半分、現実と戯曲の狭間を彷徨っているようなものでして

帽子の一つくらいそら忘れるわ、という具合です。

『狂人なおもて往生をとぐ』

読めば読むほど不思議な戯曲で、
無数の台詞の応酬が、意味は二の次の言葉遊びのようにも、単なる、いや切なる家族の会話のようにも思える瞬間が、そのたび毎に、おとずれます。 

これもまた、意識と無意識、意味と無意味の狭間をそろそろと歩いているような気持ちです。

とっても細い道だから、割と頻繁に転んで、毎度違うタイミングだけれど、どちらかへ倒れてその林の中に溺れかける

そんな感じです。

みんなで楽しく戯曲に躍らされています。

きっと舞台の上に立つ私たちもそんなふうですから、来てくださるかたも、客席で、躍らされてみたら楽しいのじゃないかなあと思っています。 

みんなで躍りましょう。

思わぬところでふいに、とても手触りのある現実の心地が呼び起こされて、ぽっとしたり、ひんやりしたりすることもあると思います。

是非、お越しください。




TAAC
『狂人なおもて往生をとぐ』

■作:清水邦夫
■演出:タカイアキフミ

■出演:
三上市朗、永嶋柊吾/福永マリカ、櫻井健人、古澤メイ/千葉雅子

■あらすじ:
 ピンクの照明が妖しげに光る娼家。大学教授と名乗る初老の男[善一郎]は、ここの女主人[はな]の客である。そして、青年[出]は女主人のヒモでここから逃げようとしているが、彼女の優しさから逃れられない。この娼家には若い娼婦[愛子]もいて、彼女の客である若い男[敬二]もやって来る。
 しばらくして、彼らはまるで家族であるかのように家族ごっこを始める。初老の男が父親、女主人が母親、青年が長男、若い女が長女、若い男が次男。
 ところが、若い男の婚約者[めぐみ]が家を訪れたことにより、家族ごっこはごっこではなく、彼らが本当の家族であることが徐々に明らかになっていく。精神を病んだ青年は妄想に取り憑かれており、その妄想に他の家族はつきあっているのだった。
 なぜ、彼は狂気に追いやられたのか。この家族が抱える秘密とは...。

■劇場:
下北沢 小劇場 B1(東京都世田谷区北沢 2-8-18 北沢タウンホール地下1 階)

■公演日程:
2023年10月27日(金)~11月1日(水)
10月27日(金)19:00
10月28日(土)14:00/19:00
10月29日(日)14:00
10月30日(月)14:00/19:00
10月31日(火)14:00/19:00
11月1日(水)14:00

■料金 <全席指定>
◎一般 5,900 円
◎パンフレット付一般 7,700 円
◎TAAC 応援!一般 9,900 円 *1
◎U-18 1,500 円 *2
*1:パンフレット付/TAAC の継続的な活動を支援するチケット/ローソンチケットのみ取扱
*2:当日指定引換券/要証明書/ローソンチケットのみ取扱
*未就学児入場不可

■チケット取り扱い
◎ローソンチケット https://l-tike.com/taac/
✳︎ローソン店内端末 Loppi 直接購入可能
◎ぴあ https://w.pia.jp/t/taac/
◎イープラス https://eplus.jp/taac/
◎カンフェティ http://confetti-web.com/taac_kyoujin
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