雑然


 
日々は充実しながら、雑然としている。 

とにかく自分のベースやペースを作りたかった時期があり、その時はひたすらに、整頓することをしていた。 

時間や、部屋や、あらゆることを。 

その時期は、疫病の流行とも重なって、整頓が消毒であったり、隔絶であったりもしたような気がする。 

なんとなく自分のベースやペースのようなものができ、かなり時間をかけてだけれど、ベースやペースを頑としなくてもそこそこ守れるようになり始め、あるいは乱れても大幅には損なうことがなくなり 

あるいは脱線しても帰れる場所を、はっきりではなくぼんやり捉えられるようになり 

すると部屋や生活は雑然としてきた。 

今私の部屋には、まだ沖縄から帰ってきて片付け切れていないスーツケースが転がっているし 

お土産の食品が部屋の片隅になんとなくコーナーを作っているし 

読もうとして眺めて終わった本が山を成しているし

日めくりカレンダーは4日に一度一気にめくる。


畑は大切にしているが、にんじんの収獲が遅くなり、一本は花が咲いた。 

可愛いじゃん、とつんで帰って家に飾っているが、今朝、おもわず うげ と言ってしまうかんじの虫がついているのを発見し 

虫のついていた二りんは、ベランダにそっと寝かせた。 

そういう風景や自分のあれこれに、心が荒むことも、ままある。 

ありながらも、うっかり虫が家に入り込んだりするような、それくらいの具合が 

私の輪郭として、本当はちょうどよいのだろうとも思う。

畑の土は、「ととのって」ないほうが、よいしなあ。