時を超えたナポリタン



すごくひさしぶりにナポリタンを作って食べました。

わたし、ちょっとびっくり。

ナポリタンの腕が、寝かせた分だけ上がっている…。

こんなにおいしいナポリタンが作れる人間ではなかったはずだろう?

どうしたんだい、わたし。

でもね、その訳が実はちょっとわかるんです。

それはだね、ご飯を愛する人間になったこと。

わたしゃだね、十数年間、食事へのゆるやかな恐怖を抱えていて
ほんとうに、うまくご飯が食べられなかったんですよ。

十代の時にモデルをやっていて、痩せて見えなきゃ!と思ったのが始まりだったのだけど
ちゃんと病院でまずいですよ〜って言われて、すぐに治そう!と思って過ごしていたのだけど

治そう!と思って簡単に治るものでもなくて、
きがついたら十数年間、ゆるやかな恐怖と暮らしてました。

それが、ほんと、去年のことですよ
気がついたらすごく普通にご飯を食べられるようになっていたんですね。

これはわたしにとって、もうねえ
もう、涙が枯れるほど嬉しいことでした。

生きることへの恐怖が一つ減って
楽しみがたくさん増えたんですねえ。

一生付き合っていくんだろうなあとおもっていたから
こんなにもふと、自然に、習慣が自分の体に馴染むものなのかとおもい

びっくりしました。

けっこう、この十五年で伝えたい喜び一位に浮上するかもしれないです。

よかったです。

きっと今日のナポリタンがとても美味しくできたのは

ご飯を愛する人間になって
めいっぱいに好きに作れるようになって
際限なく、ご飯の美味しさを生かしてご飯を作れるようになったからだと思います。

ご飯の可能性を全身で受け止められるようになったんだね!

なんのはなしですか!!

とっても美味しかったです。涙。

心と体のちいさなうまくいかないこと
「病」の一言で遠ざけたり、片付けることもできるのかもしれないけれど

ゆるやかにおとずれて、病にもたどりつかないような、ゆるやかな恐怖ってのもあるもんです。

片付くもんでもないんだなあ。

でも、ゆるやかに、時間が溶かしてくれることもあるんだなって
ちょっと信じられて、よかったんです。

生きてりゃなんとかなるもんだなあ。