バロック






鵺的『バロック』
3月7日に開幕し、15日、無事に閉幕いたしました。

完走できたこと、心から感謝しています。

奇跡の、たくさんの想いの積み重ねです。

本当にありがとうございました。

また、毎回、多くのお客様にご来場いただき、皆様に多大なるご協力をいただき、ありがとうございました。

おかげさまで、全公演を行うことができました。

今までの人生で、「最後まで公演を行える」と思わなかったのは今回が初めてです。

最後まで一人もかけずに、全部を全うできて本当に幸せです。

終演後、お帰りになるみなさんをモニターで見ながら、みんなで「楽しんでくれましたか??」と毎日言っていました。

本当に、劇場にいた全員の「楽しもう!やるぞ!」という気概で成り立っていたような気がします。

また、お越しいただけずとも御心をお寄せいただいた皆さまのおかげです。

ありがとうございました。




『バロック』は、鵺的作品の中で
私が初参加した2016年の『悪魔を汚せ』
2017年の『奇想の前提』
につづく三部作の最終章でした。

2018年『死旗』、2019年『悪魔を汚せ(再演)』も経て

私自身、2016年以来、演じる人物は違えど同じ魂のような宿命のようなものと、ずっと共に鵺的の中で演劇をしているような感じがしていました。

『千と千尋の神隠し』で言うオクサレ様のような感じで、得体の知れないものが肉体に詰まっているような、自転車とかゴミ箱とか道端のガラクタまで巻き込んでいるような。

そんな感じです。

今回の『バロック』は、お客さんのご感想にもよくありましたが、屋敷が主役のようなところがありました。

この屋敷もまた、永く生き、様々なものを蓄積していて、
その屋敷の声に共鳴するように、はたまた媒介するように、舞台に立っていたような気がします。

『バロック』を初めて読んだ時、「なんて優しい話なんだろう」と感じました。

この物語の中の人物は、それぞれがそれぞれの在り方を慮り、向き合い、
その上で自分の行くべき道を考えに考えて生き、または死んでいました。

選択していました。



向き合うことは、体力がいりますね。

そのそれぞれのおもい、目に見えない大きなものを、全て受容する屋敷が確かにそこにあることに、優しさを感じていたんだと思います。

それぞれのあるべき場所を自分で見つけ、還ることを、受け入れてくれました。

2016年からはじまった戦いが、旅が、私自身の中でも静かに終着しました。

いろんなものを連れ、蓄え、大きくなっていた肉体が、ちいっちゃくなった気分です。

今、とてもとても優しい気持ちです。

たくさんのものにまみれて見えなかった素直で優しいものが、確かに胸の中にあります。

感謝感謝の、ニガダンゴと大量の砂金を贈ります。


本当に毎日素っ裸のような気持ちで過ごしていました。

素っ裸だからできることをたくさん知りました。

これ以上ないというほどに素直に感謝と尊敬が絶えない日々でした。

バカなことをたくさんしました。

なんでも思い切ってできるこのチームを心の底から信頼しています。





新たな場所に立ったような気がしています。

演劇をやっていきたいと思いました。

役者として舞台に立ち続けようと思いました。

この身体でできることをやっていきたいです。

たくさんの人と、今、今、を刻むような演劇をこれからも共に作っていきたいです。

また、楽しい時間を過ごしていただけるよう、今日からを大切に過ごしていきます。

楽しみにしていてください。



鵺的10周年のしめくくり、おめでとうございます。

鵺的のこれまでとこれからに祝福を!!