止まって

進む電車に乗って、となりの線路をずうっと見つめていたら

電車が止まった瞬間、線路がぎゅっと奥へ吸い込まれて行くように、見えた。

目の錯覚だ。

もうずうっと、自分の自然な状態を忘れていたのに(いるのに)

身体はちゃんと、自然な反応を覚えていてくれて、えらい。

ありがとう、と思った。

線路の真ん中まで生えた草に、オレンジ色の蝶が飛んできて、じいっと、止まった。

道草を食えるようになったら、豊かだと、思う。