揺れるチャーム



そういえば

数年ぶりに髪を短くした。

おそらくだけれど、4年ぶりくらいなのではないかと思う。

それまではずっと、10代はほとんど、
ショートヘアかボブだった。

なんだか新幹線みたいな
速く走る車みたいな
勢いのある髪と顔をしていた時期も多い。
(なあにそれ)

とにかく急いでいた気もするし

本当に新幹線みたいだったかもしれない。

速く走るために
周りのこともシャットアウトしていた気がする。

さみしいけど、そうだった。

そんな速度をゆるめたくて
風の抵抗を受けたくて

髪を伸ばしていた数年間だった。

すっかりロングヘアになってからであった人が増えて

すっかりロングヘアの人になっていた。

おだやかなことも多くなった。

そんなロングヘアを、ばっさりと切った。

たぶん、15センチくらい、切った。

再び速度を取り戻したかったから、
ではない。

なんだかもう

髪型なんて関係がない気がしたから、だ。

美容院に行く前の日、
急に思い立って

切って見ちゃおう、と、切った。

切って見ちゃったら、

やっぱりたいしてなんにもかわらなくて

でもすこしなつかしいかおになって

あたらしいかおにもなった。

10代の頃より、
自分の顔に見慣れたおかげもあると思う。

気にしていた容姿のことも
いつからか気にならなくなった。

ある程度のことが、どうでもよくなった。

そのことを、髪を切ってあらわになった顔を見て
実感した。

そうそう、わたしは八重歯があるのだけど

それが見えるようになったのだって、ここ数年の話である。

それほど、笑うことすらおそれていたし
笑うほどの筋肉がなかったのだなと

ふりかえればびっくりする。

この笑顔は、
わたしと、なによりわたしの周りの人の結晶だという自負があるから

なにもうしろめることなく
ほこりをもってかかげていこうって、おもっている。