きず


舞台の本番が間近に迫り

日常の会話より、台詞の方を口にするようになり

誰のものとも、どこへ行くともわからない言葉が

頭の中で飛び交っております。

言葉にすると陳腐になることが多すぎて

なにを発したらいいかよく分からなくなる時があります。

そういうとき、
くだらない会話しかしたくなくなって

いまはくだらない会話しかしたくない。

そこに交わされる目線や空気だけを味わいたい。

そんな心地です。

MU『このBARを教会だと思ってる』の中に出てくる十八人の人たちもきっとそうで

ほんとはそればっかりじゃないから

なんでもない話ばかりをしているような

そういう気がします。


むかし胃カメラをのんだときに

「ああ、擦り傷みたいなのがいっぱいあるね。こういうのは、穴とか潰瘍より治りにくいしできやすいのよ」と言われたことを思い出してます。

えぐられるような傷ならまだよかったと

そんな甘い贅沢をもらすひとたちの話のような気がします。

日常ってそんなに
いいこともわるいことも華やかじゃないです。

そんな人たちの、こしかけるBARのはなしです。



MU『このBARを教会だと思ってる』
脚本・演出 ハセガワアユム
2/21〜26 下北沢駅前劇場