まと

ひさしぶりに料理の雑誌を手にしたら

トマトだけで薔薇色の世界がひろがっていてとてもたのしくなってしまって

ああ、わたしにとって心踊るのは

秋服やメイクではなく

めくるめくレシピなのだなと再確認。

そうそう、中学生の頃からときめくのは

洋服屋さんよりスーパーだった。

そんな基本的な自分の情報まで忘れてた。

今はトマトを買うのがたのしみな帰り道で

豆と煮込むか、もずくとあえるか、めんつゆで煮浸しか

ふむ、薔薇色である。

食材を手に取ってから調理法をきめるのがよい。

トマトはトマトであってトマトでなくて

そのトマトだけのおいしさが生きてほしい

と、最近考えていたけれど

髪の毛を切ってもらう時、ついついおまかせしてしまうのも

ひょっとするとそういう理由かもなとおもった。

そのひとからみた、今のわたしが生きる髪型が知りたいし

わたしからうかんだその人のイメージがみたい。

その時会ったからみえるものがみたいのであって

ゴールの設定はいらない。

レシピを凝視し、鏡を顧みず過ごした美容室

仕上がってやっと鏡を見て

帰り際、「うれしいです」と美容師さんに伝えられて、うれしい。

その美容師さんのみたわたしは

わたしのあたまのなかで
秋服の入ったクローゼットをひらいてくれた。