まがいかど

触れたい、触れたい、とおもいつづけてきた。

いつも、

触れたい、触れたい、とおもいつづけてきた。

なるべく奥の奥の奥のほう

いちばんちかくて、やわで、ぎりぎりのところまで

触れたい、触れたい、とおもいつづけてきた。

いまも、ずっとおもっていた。

だけれどすこしずつそのことに疑いが湧いて

なにに、どんなところに触れたいのか

よくわからなくなっていた。

触れたいという感覚だけはずっと揺るがないのに。

わたしの求めるものに「似たようなもの」を眺めるたびに

感覚を取り残して、なにかがずれてゆく感じがした。

求めているものがそれじゃないことはよくわかるのに

それを言語化できないから確信が持てなかった。



だけどきのう、よくわかった。

わたしは、そこに、ふれたいのだった。

目に見えない、耳に聞こえない、
でもたしかにそこにあるものを

目にみえるように、耳にきこえるようにしたいのだった。

その、どこでもない、
でもたしかにここにあるものに触れたいのだった。

魂のことが、したいのだった。