我が継

写真: 図師光博

続けていけるって、

奇跡の重なりでしかないんだなっておもった。

続けることって

放っておいたってできそうで

すこしまちがえたら惰性や怠慢になりそうで

変わらずにあるってことって

不安になる。

長いことやっていると

新しくて強いものが目に入ることもよくあったから

そんな瞬きを見ると眩しくて、くるしいときもあった。

ただただ増えて行く過去が

重たくて邪魔に感じるようなときも。

でもね

続けてきて初めてそこに凛と立つひとをみたとき

ああ、続けていけるってことは奇跡なんだって思った。

いろんな瞬間の奇跡が

見えないような尊い奇跡が

ひとつひとつ、重なって重なって

やっとたどりつく今があるんだと感じた。

そして、

そこにたどりついたときには

はじまりからいままでの歴史が奥行きとなって

今この瞬間に見えるもの以上のすべてを
語ってくれるのだとわかった。

ただ、そこに立つだけで。

生きてるってことが、まるごと

作品になる。

生きていこう、と、おもった。