らせんのむせん

大学時代をすごした街へ行った。

まだすこしはやいけど、

学園祭の準備の帰り道のかおりのする夕暮れで

ちょっとうずいた。

たくさんのことばを交わしたきょうは

あたまのなかのいろんな引き出しに取っ手が付いたみたいに

たくさんがひらいてたのしかった。

大学に行ってよかったなあ、とおもうことが、

いまになってたくさんある。

当時もたくさんあったけど

いまになって、も、たくさんある。

いしずえができた時間だったから。

とても大きな時間だったなあ、と実感する。

地底みたいなそれまでがあって

たどり着いたいしずえは

思った以上に根が深く

合点がその手をはなさない。

このいしずえのうえに

またなにかつんだり

ならべたり

たまにゃタップダンスして鳴らしたり

きっとできるなっておもう。

帰ってきた街の秋は

おなじ場所にはなくて

すこしすすんだ場所にあった。