はたちのかぜ

下北沢という街は、いろんなことをおもいださせる。

いろんなわたしをおもいださせる。

いろんな場所に吹く風が

ぜんぶいつかへ、つれかえる。

夕涼みがきもちよくて

ふと立ち止まって、
腰かけてすごしてみた。

なんでもないその場所は

4年くらい前のわたしをつれてきた。

初めて飲んだ赤ワインの色

初めて聞いたチェイサーというオシャレなことば

肩透かしみたいに涼しかった秋のはじまりの風

ここにある風。

繊維みたいに重なり合って

ここ、わたし、いま。

生きるほどに、どこかに触れる瞬間は増えてくるね。

出会ったひとのぶんだけ。

過ごした時間のぶんだけ。

いつか下北沢は、思い出の場所になるのかな。

それとも

いつも、いまの下北沢とわたしを

重ね合わせてゆくのかな。