サンキュー溝
台風だったもので、職場のお店も静かな日だった。
いつもは止まっている隙もないくらいなのだけれど、信じられないくらい止まっていられたので、目に入った焼き台のこげつきをとってみようかなぁと思った。
へらのようなものでこげつきをこそげると、けっこう取れる。
焼き台の全体を順ぐりにこそげて、また前のところに戻ってへらでごしごしすると、もうひと段階取れる。
だんだんハマってすごい集中力でこげを取っているうちに、中学生の頃、掃除の時間にひとり、校舎の脇の溝の土をひたすら毎日掻き出していたことを思い出した。
詳しくはこの日の雑記を読んでほしい。
http://marikateenono.blogspot.com/2019/12/blog-post.html
自分の中にどうしようもなくある孤独と、あの溝の景色はとても似ていると思う。
最近、そういう孤独についてなぜか考えていたんだけど、そんなタイミングで今日は、久しぶりにあの溝の土を掻き出していた景色を思い出して、孤独のはずなのに悪くない気持ちになった。
14歳やそこらの自分がまだ消えていないことに安心したのかもしれない。
最近、ついに全く記憶にない過去が生まれ始めたからかも知れない。
それから、どうして俳優の仕事をやっているのだったかについても最近あらためて考えていたのだけど
溝を掻き出していた話の記事に、「誰かと何かを作るのは楽しいと気づき始めたのは大人になってからです。この仕事をしていてよかった」って書いてあって、ありがとうと思った。
もう最近は、演劇をしていなくても、人と関わることはできるようになってきたし、台風が来ないとこげつきの黒をひたすらこそげたりしなくてもよくなったけど(こげつきは日々掃除するべきだけど)
でも、やっぱり、誰かと何かを作るのが嬉しくて、作ることで関われることが嬉しくて、俳優はやっていると思う。
サンキュー溝。
