ロマンチックなスコーン




近所のすごく好きなお花屋さん、3年くらい前に閉店してしまったなぁと思っていたが、なんと去年、再オープンしていた。

本当に嬉しい。気づいた時、ちょっと大きな声が出た。

いつもとてもとりどりの、元気なお花を、手頃に売ってくれるから、おかげでわたしのダイニングテーブルはほころぶ。

しかもとっても、永く元気。


先日も、お花を買いに行った。

小さな店内ではお客さんと店主がお話ししていて、だからわたしはゆっくり、外に出ているブーケを見ていた。

するとしばらくして、店主が扉から顔を出して
「常連さんとお話ししているだけですから、気を遣わずに入ってくださいね!それに見ちゃったからって欲しいものがなかったら買わずに気にせず帰っていいんですからね!」
と、言った。

こんなにも、思っていること、相手が思ってしまうかもしれないこと、でもなかなか言えないこと、言い合えないうちに折り重なってしまいそうな気遣いのすべてを、全部口に出して渡してくれる人がいるのか!と、思った。

自分の中を、スコーン!と何かが抜けるような感じがした。

わたしの中には、実は何の気持ちも折り重なっていなくて、ただただどれもかわいいなぁ、どれにしようかなぁと長々と思っていただけだったから、引き続き長々と悩んで、これかなぁ〜というブーケを持って店内へ入った。

「気に入るのありました?」と店主。
「全部気に入ってずっと悩んでいました」とわたし。

「そういえば、前にこちらのお花屋さんからやってきたブーケに入っていた柳みたいな枝に、白の小さなお花がついたんですよ!」と報告したら

「キバデマリですか?切り枝からお花はなかなかつかないから、ラッキーですよ!」と教えてくれた。

でもわたしはその時、自分のラッキーじゃなくて、さっきのスコーン!と抜けた気持ちのことを思った。

スコーン!と抜けた気持ちが、どこまでも誰かの元へスコーン!と抜けていって、キバデマリの茎をスコーン!と抜けていって、白の小さなお花がついた。


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5月8日(金)〜10日(日)、吉祥寺シアターで開催される、『優しい劇団の武蔵野演劇祭』に参加することになりました。

名古屋からやってくる優しい劇団が、吉祥寺シアターで三日間、毎日異なる演目を上演するお祭り。

わたしは三日目、
優しい劇団の大恋愛Volume11
『もっと愛してくれよ節』に出演します。

その日はじめて集まって、稽古から本番まで、出会いから別れまでおこなう、優しい劇団の大恋愛。

1日限りの上演です。

だけど一人一人に当てがきされた戯曲はもう、少しずつ届いていて、一人一人がそれぞれの生活の中でそのセリフやシーンを育てながら、5月10日へと向かっています。

1日限りだけど、全員の日々が集まっています。

尾﨑優人さんの戯曲にある言葉は、スコーン!と正直です。

スコーン!と正直でいるのは、なかなか現実じゃ難しいかもしれないけど、演劇だから叶うロマンチックなスコーン!があります。

もっともっとこの世に、ロマンチックなスコーン!が思い出されて欲しいなあ、ロマンチックを精一杯かかげたいなぁと切に思うこの頃です。

抜けた空を見上げるような心持ちの岐路になりますように。

3/27(金)、一般予約受付開始です。

是非お越しくださいませ。

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