攪拌
▲友が美味しそにとってくれたレンコン揚げ
高熱を出す。
時を同じくして、サポートをやめるよやめるよと言われていた LINEに、ついにサポートをやめられる。
LINEのアプリケーションをアップデートしていない人は、そろそろそのいにしえのバージョンでは使えなくなりますよという忠告をひと月ほど前からされてはいたのだけど
そのアップデートをしようとしたところ、そもそもの機械の方のアップデートを済ませてからでないとLINEのアップデートなどさせませんよと言われたのであった。
そもそもの機械の方のアップデートも試みてはいたのだけれど、おそらく家のwi-fi環境がよぼよぼで、「やろうとはしたんだけどなんかだめでした」と機械から何度も言われ、まあじゃあ仕方ないもんねえと寄り添い続けていた。
その仕打ちがこれだ。高熱の最中に、 LINEが使えなくなった。
約束していた人たちに連絡をしようにも、 LINEができない。
これは弱った、弱っているし、弱った。
高熱により緩んだ口元の上下の歯が、高熱により激しくなった鼓動に合わせて、カチ!カチ!とカスタネットのように打っている。
歯って勝手にぶつかるんだなあ、すごいなあなどと、凡庸なはずの内部の微細な動きとリズムに朦朧とクロースアップする。
まぶたの裏では、ウイルスと細胞が戦っている。
そんな営みが脳裏に、あれ、もしやこちらもアップデートのようなことが行われているのでは、とさくらももこの曼荼羅風の絵柄で語りかけてくる。
よりよくとか、先鋭の、という意味ではなくって
走り続けて、よくしようとして伸ばしすぎたところ、行きすぎたところに歯止めをかけるとか
もっというと、あまり一方向的なものでなくて、走り続けてどうにも刻まれていた軌道を一度シャッフルしてしまうとか、攪拌するみたいなイメージ。
よくしようとおもったところで、よくなっているかどうかなどはわからず、それでもよくしたいなあとは思っているのだけれど
かように時々、軌道を、修正するというより、攪拌するのが乙ってものなんじゃないだろうか、とぞ。
さくらももこの絵柄の、三角帽子をかぶったうさぎや棒人間が、細胞内をせわしなく行進しながら、そんなことを言っていたので、なんだかめでたい気分で熱にうなされていた。
そんなわけで、ネットの叡智をお借りし、LINEは機械の身の丈にあった程度にアップデートすることに成功し、無事に使えるようになった。
熱もぼちぼち下がり、しばらくぼーっとすることができたわたしも、身の丈にあった感じになった気分である。
そうだ。来週末は、映画の上映があります。どうぞよろしく。
『そんな思い出』
上映日時:2024年11月16日(土)17:00〜
会場:ベルブホール(永山公民館)
出演:小川ゲン、影山祐子、赤染萌、南波美沙、野川雄大、福永マリカ
TAMA NEW WAVE公式HP
https://www.tamaeiga.org/2024/newwave/