そんな思い出

洗濯をしていたら、半そでのTシャツが洗い物から出てきて驚く。

こんなに寒くて震えてるのに。

数日前の自分を疑うが、気候がそういう現実なのだ。

一度の洗濯周期の間で、世界（気温）はこうも変わるのだよ。

出演した、渡辺拓真監督作の映画『そんな思い出』が、第２５回　TAMA NEW WAVE　ある視点部門にて、上映されることになりました。

うれしいですね。

『そんな思い出』は、２０２０年８月から制作が開始されYoutubeで公開していたドラマ『お部屋物語』をもとに長編映画として再編集された作品です。

あのころ、こんな形になることも、こんな風に作品が旅することもまったく想像していませんでした。

私はこの作品を、実際に８年間住んだ部屋とともに撮影してもらいました。

ちょうど引っ越す直前のその部屋の姿が映っています。

脚本をもらい、実際の自分の現実とはまったく異なる物語がその部屋に付与されました。

そこでセリフをかわし、時を過ごすことで、カメラに写っている時間だけでなくそれ以前にも、持っていなかったはずの思い出を、我が部屋は抱くことになりました。

実際に過ごした８年間を否定する意味ではなく、それでもなぜか、現実に過ごした日々までもが寿がれるような、ほどかれるような思いがしました。

ごほうびのような、手あてのような、そんな経験でした。

また、長く住んだ部屋にいることが、こんなにも虚構の中でセリフを喋る自分の根底、根拠のようなものを支えてくれるものなのかということを実感した撮影でもありました。

虚構が現実をほどき、現実が虚構を下支えすることを観測した作品です。

と、これはごくごく一部の、断片的な話です。

再編集された映像もまた、あたりまえですが断片の集合体で、しかしそのことが、時が経過することの効用のようなものを再確認させてくれるようでもありました。

ちょうどその頃書いていた３行日記を２年ほど経った時に読み返して、えのきを買ったことがこんなにも重要な記録になるとは、と驚いたことに似ていました。

大切な記録と、それが導く想像もしなかった景色への出会いをくれた渡辺拓真さんに感謝いたします。

『そんな思い出』
上映日時：２０２４年１１月１６日（土）１７：００〜
会場：ベルブホール（永山公民館）
出演：小川ゲン、影山祐子、赤染萌、南波美沙、野川雄大、福永マリカ

東京での上映は最初で最後になりそうとのこと。
どうぞお見逃しなく、お越しくださいませ。

福永マリンパーク