馬大頭



インターネットカフェで、漫画を好きなだけカゴに入れて、確保した個室に向かう時、「うわ、しあわせかも」と思った。

それは、昔よく、どこかに行きたいのではなく、ただただ移動したくて、遠くまで行く鈍行電車に乗っていた時の「うわ、しあわせかも」に似ていた。

ただ本を読んだり、何もせずにただ頭の中だけでいろんなことをしたりするのに、なぜか許可がいると感じることがある。

何に対してかはわからない。

ただ、電車に乗って移動しているときは
何も進展していなくても、物理的に私の身体が移動している分、そこに自由に使っていい時間が生まれるような気がしていた。

インターネットカフェに行って漫画を読むのは、お金を払って漫画を読むための時間を買っているので、多分同じような自由を感じたのだと思う。

なんて不自由な思考なんだろう。われながら不憫である。

漫画くらい好きに読みなよ。

あんたどうせ、お風呂に入るのが面倒臭い30分間くらい、どうしたらいいかわかんなくてどうでもいいInstagramみたりしてるじゃん。




オニヤンマって、漢字では「馬大頭」と書くと、エレベーターの中のささやかなクイズで知った。

鬼じゃないのかい。
馬なのかい。
そして馬の字は「ンマ」の音にあてるわけでもないのかい。

調べてみたら、一応、「鬼蜻蜓」という素直な漢字もあるらしい。

なんで馬なのかは、調べても出てこなかったけれど、「四枚の羽をバラバラに動かせる」と書いてあったので、馬の四肢に例えているのかしら、と思った。

さて、馬大頭は、四枚の羽をバラバラに動かせることでどんな自由を得ているのでしょうか。