パカ


昔、パカパカケータイの頃、

充電が切れて電源が落ちてしまっても、電源ボタンを長押しするとまた電源がついて、
しかしほんの少し操作すると電源が落ちてしまい、特に何もできはしない、というのを何度でも繰り返すことができた。

こんなに何度も立ち上がることができるなら、一回まとめてヨイショ!!とエネルギーを出してもらって、メールの一件でも送らせてくれよと思っていた。

しかしこの頃、夜がふけると、まだお風呂に入れていないのにどうしてもベッドの方へ近づいて身体を横に倒していまい

気がつけば瞳を閉じているけれども気がつくことはでき

はっと立ち上がっては見るのだけど、スマートフォンをいたずらに操作してはまた瞳を閉じる

というのを何度でも繰り返しており、ああこれではまるで昔のパカパカケータイではないか、と思った。

そう、今日の業を成し終え眠りにつけるまであとほんの少しなのに

お風呂に入るという業に必要な充電は20パーセントくらいであり

その20パーセントを振り絞ろうと思うと一気に電源が落ちてしまう。

そういうシステムなのだ。
(システムなのだ、じゃないよ)


ところで最近のスマートフォンは、一度電源が落ちると潔くもう起き上がってこないなあと思う。

自分の限界をよく心得ているのかもしれない。

だけど、パカパカケータイにシンパシーを感じてしまった今や、一向に心得ずにあきらめ悪く起き上がってみるその態度を恋しく懐かしく思う。

 

などとお戯れになるエネルギーを用いて、今日は帰宅したらすぐ風呂場に身体を投げ込むのだ。 




▼すずしくなり、我が家の茄子はつやを取り戻し始めました。
梅干しは父の手作り。