些細だが詳細な、かなしみ

緑の頃



今年も上半期が終わりに差し掛かっているが、上半期のうちに二度もスマートフォンを拾ってしまった。

二度目は今朝だったのだが、二度目でも、道端に一人でいるスマートフォンを見つけるとドキドキしてしまう。

おそらく、そのものに電波が通っていて、スマートフォンがひとりでいてもあらゆる外界と繋がっていると言うことが

生き物の脈とは違うとは言え、何か別の、ひとりでに生きている生命に思えてしまい

それが持ち主の手を離れ、一人で道端にいるのを見かけると

飼い主の手から逸れたペットに出会ってしまったようで、どうにもざわつく。

スマートフォンが、飼い主の手から逸れたペットのように思えてしまうこと自体が、なんともいやなのだけれど。

ところで、スマートフォンを道端に落としてしまう人もぼんやりしていることになるのかもしれないが

道端に落ちているスマートフォンにやたらと出会ってしまうのも、ぼんやりゆっくり下を見て歩いているせいかもしれない。



昨日は、夕立が来るというので、洗濯物を取り込むべく、本当はスーパーで買いたかった納豆を仕方なく通り道のコンビニで買って急いで帰ったのに雨は降らなかった。

別にいいのだけど、ちょっとちぇっと思って、翌朝食べるはずだったその納豆を、その晩に食べてやった。

生活のかなしみ(とも呼べないが)は、些細だが詳細なのだということに気がつく。



モミジノハナ『一貫性ガン無視ガール』は公演までひと月くらいになった。

コツコツ稽古中。

気づけば、おもしろかなしい作品を作っている。

日々はおもしろかなしいことがたくさんあるからな。


かなしおもしろいでもOKだけど、リズムとして、おもしろかなしいと呼んでいます。


コラボノハナ2023
『一貫性ガン無視ガール』
2023年7月15日(土)〜18日(火)
新宿眼科画廊 スペース地下




追伸:
スマートフォンの落とし主が見つかり、よろこんでいたとの報。
星を見て写真撮ってたら落として忘れちゃったそうな。なんで?
なんていいぼんやりなんだ。