春は甘夏
三月で閉店してしまうとても好きなお花屋さんでブーケを買い納めた。
なずなの入った、白と緑のささやかでさわやかなブーケで
やっぱりこのお店が好きだったなあと思った。
お正月用にそこで買った大きな花瓶に生ける草木の中に入っていた雲竜柳は、
水につけたままにしていたら根が育ち、春になって葉が芽生えてきたところだった。
お店は閉店しても、この柳はこれから様々に変化する姿を見せてくれるんだろうなと思う。
時間の節はそうして繋がれていくものなのだなと思うと、寂しさも少し薄れ、それ以上に偉大な仕事の恩恵を思う。
甘夏をいただいたので、マーマレードにした。
たくさんできたので、甘夏マーマレードを使った料理ばかりをしている。
甘夏マーマレードポークジンジャー
初鰹と甘夏のカルパッチョ
甘夏マーマレードガトーショコラ
目の前にあるものに作らされる料理。
四月。
生けた緑のブーケが動いているなと思ったら、クモが葉を渡り歩いてた。
おまかせしながら、自分のできることをする。