まんま





貧血すぎて、スーパーに行って食材を買って、料理してる間に黄泉の世界へ行きそうだった。

ささやかに光るサイゼリヤの看板に吸い込まれるようにして入った。 

煌々と、だったら、入れなかったかもしれない。

チカチカする目を凝らしてメニューに食らいつく。

欲望のままに、にんじんサラダと、若鶏のディアボラ風、ポモドーロを頼んだ。

なんてったって、サイゼリヤだからね。働かない脳みそでも気安く豪遊が可能なのだ。

柑橘が香るにんじんサラダにはじまり、
カリカリに焼かれたチキン、ぷりっとしたパスタが続々と出てくる。

海賊のように大口で食べると、冷たくなっていた身体がぽっぽとあたたまり、
食べ終えて視線を上げると、先ほどより一段階明るくなっている。

まるでブランニューワールド。

ひよこが生まれて初めて見たものを親だと思うというが

その時わたしは、サイゼリヤを我が親だと思った。



日本中の信頼を集めるサイゼリヤだから、今さら誰も驚かないだろうけれど、全部で1100円だった。

ワインも飲めたな、と、サイゼリヤによって血の巡りはじめた脳みそが囁いている。

無論、料理は命綱を手繰る勢いで食べ尽くしたので、写真はどんぐり。