アク


真剣にごはんを作り、食べ、真剣に掃除をし、真剣に寝起きし、真剣に身近な人をおもうことが、生きるなかでもっともやるべきことだなと思う。

それは、生きるなかで何よりも偉大な仕事であり、でも当たり前の顔をして過ごすのがたいていのようで、すずしい顔でいながら、ぐっと地面を
足の全ての指でやっとつかんで立っている。

だから、スーパーの前で筍を見つめて10分立ち尽くすこともある。

そんなもっともやるべきこと、それだけできていればよいと思えることを抱きながらも、

芝居をやることも生活のなかにある。

演劇は祭ごとのようだなと思うことがある。

ひっくるめたケハレ、日常なのかなと床を磨きながら思ったりもする。

もちろん、芝居をすることは仕事であるから、それ自体がケであったりもする。

家事も、俳優の仕事も、どちらにも、自分の中の小さな神さまにお祈りするような感覚もある。

梅干しの中の天神様とか、あんなかんじの
自分の中にカラカラなってる、ガラクタみたいだし得体もしれないけれど
こわしてはならない大切なところ。

日々祈ってすごしてる。

平穏を。ままならないことの、それでも、それぞれのあるべき場所に静かにおさまることを。
自分の意の中でなくて、それぞれのカラカラのおさまりのよいところへ、深く静かに落ち着くことを。

そんなかんじ。

なんとか見つめて連れて帰った筍を、下拵えする夜になる。

下拵えがすんだら、筍ご飯にもなれるし、わかめとも煮ることができるし、そぼろあんにからませることもできる。

よいこらしょ、とおもっても、土台にのせることができたらなんとか時は流れ出す。

日々の家事の習慣も同じ。



次に出演する、鵺的『バロック【再演】』
今週末からチケット一般発売です。

どんな公演になるんだろう。

2020年3月の初演の時は、『千と千尋の神隠し』でニガダンゴを食べるような感じだなと思ってました。

そのあともっともっと世の中は混沌として(混沌があらわになって)しまったけど

そしてまだまだ事態は変わらないけど

今回は、今回の、いいニガダンゴになるといいなと思います。

自分の、その人の、その場所の、そのものの、一番弱くて優しくて可愛いところに出会えるまで、いいニガダンゴをつくりつづけたいなとおもいます。

なんのはなしでしたか。

明解な公演の情報をご覧ください。


演劇ユニット鵺的第15回公演
『バロック【再演】』
作 高木登(演劇ユニット鵺的)
演出 寺十吾(tsumazuki no ishi)
2022年6月9日(木)〜19日(日)
下北沢ザ・スズナリ

チケット
一般発売 2022年4月23日(土)A.M.10:00~
全席指定
前売 5500円
当日 5800円
U25割引 4500円(枚数限定・J-Stage Naviでのみ販売)

[発売]
ローソンチケット
(Lコード:31879)
http://l-tike.com/

J-Stage Navi 03-6672-2421 (平日12:00〜18:00)
http://j-stage-i.jp



あそっか、ニガダンゴのかわりがほしくて、筍を食べたくてたまらないのかもしれません。

春には、春野菜のアク。これ鉄則。