水無月



6月30日なので、水無月を食べました。

水無月は、好物。

紫陽花も花の中で一番に好きなので、6月は好きな月みたいです。

月末恒例のビデオレターを撮ろうかと思ったのですが、舞台の本番前で、心家にあらずという顔をしているので、文章で失礼します。




あした、7月1日から、鵺的『夜会行』を上演します。


チラシにも書いてあるように、『夜会行』は「セクシュアル・マイノリティ」を扱った作品です。

もっとはっきりと言葉にして考えを伝えていきたいと思っていたのに、いろんな人がいて、いろんな風に生きてきて、いろんな考えがあることを知るほど、立場を定めて言葉にするのが難しくなることを実感しました。

それでも、今、ここに立って何を思うのか伝える必要についても、同じくらい実感しました。

自分の生活のまわりで、できることをしていくことに尽きるとは思っているのですが

SNSやニュースで、セクシュアル・マイノリティに関するひどい言葉を見かけると、いつもそういう時に矢面に立たなければならないのが同じ人たちであることがとても嫌だなと思っていて、
私でもこうしてSNSなどでも意見を伝えることで、少しでもその重さが分散しないだろうかと考えたりします。

今回、稽古に入る前に、和田華子さんの『LGBTQ勉強会』を受講させてもらいました。

和田さんは、LGBTQへの理解を深めることは、優しさや寛容さを持つこととは違い
浅くてもいいから正しい知識を持つことだと仰っていました。

その上で、基本的な知識を教えてくださったのですが
その時の伝え方に、常に、マジョリティへの配慮を感じたことが強く印象に残りました。

知らないことを知ることは、誰にとっても恐ろしく
「普通」や「当たり前」が揺らぐことは、これまでその人が生きてきたこと、信じてきたこと、アイデンティティが揺らぐことでもあるような気がします。

その恐怖を慎重に慮って、正しい知識を伝えてくださっているように感じられたことに、一番深く考えをあらためました。

また、「普通」や「当たり前」を改めることにそれほどの抵抗感や、痛みが生じるということは
世の中に通っているとても狭い「普通」や「当たり前」によって追いやられ、常にそれだけか、もしくはそれ以上の抵抗感や痛みを感じている人がいるのだということを、改めて理解しました。

勉強会に行く前は、「何をしてはいけないのか」ということに神経が働いていて、とても緊張していたのですが

帰る時には、「知るからできることが増える」という考えかたに、ひらけていました。

知識を増やすことは、他者にも自分にも選択肢を増やすことに繋がって、
今は自分に無関係と思われることも、回り回って自分のいつかの困難のためにもなるのだと思いました。

和田華子さんのお話が、とても素敵なので、是非勉強会、受けてみてください。

和田華子さんホームページ



長くなってしまいました。

常々考えのまとまらない頭の中なのですが、今はひとまず、今ある身体を持って
『夜会行』に描かれているまとまらないことをまとまらないまま、水のように吸い込んだり飲み込んだり浴びてもらえるように
率直に舞台に立とうと思っています。

楽しんでいただけたら、嬉しいです。

また書きます。



どうか、おだやかな7月をお迎えください。

会えるかたは、劇場でお会いしましょう。

◉当日券情報が出ました!