サンソン

舞台『サンソンールイ16世の首を刎ねた男ー』を観ました。

すごく良かったです。

私は、「正しさ」を決めないために芸術に触れているのだと言うことを思い出しました。

観ながらずっと、是枝裕和監督の『三度目の殺人』の中にあった「誰を裁くかはだれが決めるんですか?」という台詞がぐるぐるしていました。

人は、人を裁くことができるんだろうか。

自分には人を裁くことができると思う瞬間、私はもう人じゃなくなる気がします。

そうしないために、芸術に触れているんだと思います。

揺るがない真実などないと
揺らし続けるために、自分も何かを表現したりしてるんだと思いました。

簡単に間違えるからなあ。



カーテンコールに立つ出演者皆さんの表情や眼差し、姿勢に、自分の仕事を全うする意志を感じたのが、強く心に刺さりました。

きっと、舞台の裏や周りにいる多くの人たちも、あの時、あんな佇まいをしていたんじゃないかと想像しました。

舞台作品を立ち上げることの中には、役割はあれど上下はなく、それぞれがそれぞれの持ち場について、その作品を立ち上げたり、守ったり、遠くへ飛ばしていくということ、それだけがあると思っています。

その役割を、今のこの状況の中でも、冷静にまっとうしようという一人一人の意志と、それがまとまった作品としての意志を感じて、勝手ながら勇気をもらいました。



東京公演は、予定より早く昨日が千秋楽。

このあと、大阪、福岡、神奈川の公演があるそうです。

できるだけ多くの人にこの作品が届くといいなと、これまた勝手ながら願っています。