集まる

あたたかい土曜日と日曜日。

じゅわーってほぐれる音がして
そこにかたまりがあったことを知った。

春。

育てている柳の、もう何も起こらないと思っていた、硬い硬い枝の爪から、ふわふわの何かが咲いた。 

あれが私の身体の一部なら、とっくに諦めてそうな様子だったのに。

見えないところで、命は進んでいる。



お皿の上に、春を呼んだ。

前に山の中のペンションで出してもらったお料理の盛り付けが、山の中の草木や花や虫たちのようで、うっとりした。 

見たことのない盛り付けだった。

テーブルに敷いてあった、押し花とそっくりにみえた。

あの盛り付けは、きっとあの景色の中で過ごしている人にしかできないものだった。

その思い出を描いてみたけど
やっぱ全然違うなあ。

私の景色じゃないもんなあ。



道端に咲いたかわいいお花を集めて帰るようなことがしたいんだなあと思った。 

なんだ、今でもやっぱりこんなものがいちばん欲しかったんだ。

多分いつまでも。

心底、安心した。


やさしい顔が集まること。 

体温が伝播して、じんわり滲むこと。