こえをきく


とても楽しかったことが終わってしまって
楽しかったなあという思いと、終わっちゃったなあという思いでいっぱい。

こういう時、頭の中にはなぜか「辛抱する」という言葉が浮かんでいて
楽しかった寂しさをぐうっと抱きかかえている。

ぐうっとするために、昆布とかつおぶしでくつくつ出汁をとった。
沸騰させないようにする。

それでできた、牛丼。
今晩も、土井善晴先生レシピ。

うまい!という感じを出すために、しっかり御出汁から取るんだそう。

うまい。

本当にうまくてたまらず、また辛抱。
(人生で食べた牛丼の中で一番美味しい。本当です。)

やっぱり、こんなに単純なことがこんなに美味しいのか、という味になるんだなあ。

土井先生のレシピ。

料理は「理(ことわり)を料る(はかる)」ことだと、外山滋比古さんの本にも書いてあった。

すこし調べてみたら、魯山人のことばで、不自然なことがあってはならないのだと(意訳)。

土井先生も、料理しながらよく食材の声を聞いている。

自然なことをすると、すんなり美味しさが届くのだなあと思う。

演劇もそうだったりすることが多い。そうなのよそうなのよ。

人のレシピで料理をしてみることは、言語を習得するのに似ているのかもしれない。


お味噌汁は、八百屋さんでご自由にお持ちくださいになっていたかぶの葉と、マッシュルーム。

これもおいしい、よく来たね、かぶの葉よ。

美味しいご飯は、本当は太陽の元で美味しそうに写真に収めてあげたいんだけど
どうにもゆっくり料理をすると夜になる。

朝は最近、もっぱらおかゆです。

明日はかぶの葉ふりかけをそこにのせよう。

また明日も、楽しいことを誰かに渡せますように。