交差する軸

写真 DAISUKE HASHIHARA


気持ちの良い夕方にスーパーへ買い物に行った帰り道
ふと静寂が訪れて
もう今年のことを振り返っていた。

いかんいかん、まだあと半分近くあるっていうのに。

でもこれまでを振り返るっていうか
今予想している今年の全部を終えたところに立って

その上で2020年を振り返ってみてた。

予想通りになんて行かないだろうし
これからまだまだいろんなことがあるに違いないけど。

3月末、ああもうきっとこれは当分演劇ができないんだろうなあ
と思った時に

正直、すごくいろんなこれまでのことを悔いた。

なんで今この瞬間までにしばらく暮らしていけるだけの貯蓄をしておかなかったんだろうとか

芝居だけで食べられるようになってなかったんだろうとか

もっとこれを動かしておきたかったとか

風まかせに、「いつかその時がきっと来るだろう」と思っていたし
そのやり方でいいと思ってきたけど
急にそのずっとつづくであろう道みたいなのが途絶えて

間に合わなかったなあってことがたくさん出てきて。

悲観もしてないし、
ある視点から見れば立ち止まれてよかったねとも
別にこれからも日々は続くねとも
日常って楽しいねとも
この暮らしもなかなかいいねとも思っている。

どれかが全てじゃないし。

だからその視点とは別に、もう一方で、悔いているというか、そんな感じで。

別にそのまま、続いていた道の先にあったこの2020年を過ごすのでもよかったのだけど

ちょっとこれも機会だと思って
これまでいつか、いつか…と思ってたことを
今だ!と思ってやってきた2020年でした
(だからまだ全然終わってない)。

それはなにかをやる!ということももちろんだけど
やらない!ということも含めての選択です。

やりたかったこと、いつかやるんだとおもっていたことをやる。
いつかいつかとおもってやり過ごす間にやっていたことをやめる。

そんな感じ。

意外にもその中で生まれた時間の隙間とか、頭の中の隙間があって
やりたくないことをやらないって大切なことなんだなあとおもっています(笑)

この数年間、心身の健康の大切さと、人っていついなくなるかわからないなということを知る機会がたくさんあって

そんなことも影響しています。

自分にできることとできないことをゆっくり知って
限りある時間とかエネルギーを大切にしっかりつかっていきたいなと思っています。

だから今はとても楽しいです。

自分のできないことを、人にお願いするのが迷惑を広げることだと思い続けていたけれど
ひょっとして楽しさが広がることにつながるのでは…?
と、さんざ人から教わってきたのにやっと実感して
発明のように驚いています。

あと、ようやくやることリストを付箋にして壁に貼るようになりました。

お腹に落ちるのには、信じられないくらい時間がかかるけど
そういう日も生きてりゃいつかは訪れるんだなあというのも
また別の時間軸で感じています。