渦巻く嵐

舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These〜第三章 嵐の前〜』
いよいよ明日、開幕します。

稽古場にて


どうにもこの作品をやっていると、自分のことが疑わしくなって、なかなか文章にすることもできなくなっていました。

その理由の一つは、まず、自分が演じるフレデリカ・グリーンヒルという人の、芯の強さと懐の広さです。

彼女を演じていると、自分の弱さや小ささにいつも以上に目がいってしまう。そのくらい、しなやかで凛としていて、潔いのですね。

自分の演じる役に対する尊敬が大きいとこんな感慨になるのだなという、なかなかない気持ちです。

もう一つの理由は、物語の中にあまりにも多くの正義が渦巻いていることです。

いや、たぶん「正義」と呼ぶのも違っていて、ただただ、あまりにも多くの人の「人生」が重なり合っていることを実感するというほうが適切かもしれません。

私自身が生きている場所にも、物語と同じように、当たり前にいろんな人がいて、いろんな「人生」が重なり合い、渦巻いていることをあらためて実感します。

そうしたとき、自分が信じていることや、信じようとしていることというのは、はたして…と思ってしまうのですね。

きっと、正しさを問うた時点で、戦争の始まりの始まりの始まり…くらいのところには火がつくのだろうとも思うのです。

この物語は、遠未来、地球から居住地をうつした人類が、宇宙で起こす戦争と、そこにいる人々の物語です。

でも、自分自身の昨日でもあり、明日でもあり、今日でもあると感じます。

あまりにも正直な作品に、照らし出されて、口をつぐみそうになります。

ただ、この作品ができていく稽古場にいて、
作っている一人一人の、異なる経験や「人生」が、織りなすものの素晴らしさも知りつつあります。



本当に色々な場所で戦ってきた、年齢も経験もばらばらの人たちが集まって作っています。

そのことが、作品の彩りと層を豊かにしていることが、一番の希望です。

きっと来てくださる皆さんにも、大いに楽しんでいただけると思っています。

私も、作品の彩りの一つになれるよう、自分を、皆を信じて臨みます。

ぜひお越しください。

お待ちしております。

追伸:これを書いていて、今一番自分に必要なのは「潔さ」だなと思いました。
フレデリカの持っているものの種が私の中にもあるはずです。
その種を育て続けて、尊敬をこえて、自分の身体になじませていきます。

そのうちに、自分自身もこんなひとになれたらいいなあ。





舞台『銀河英雄伝説 Die Neue These〜第三章 嵐の前〜』
原作 田中芳樹
演出 大岩美智子
構成・監修 高木登
脚本 米内山陽子

東京公演 Zepp DiverCity
2019年10月24日(木)〜27日(日)
大阪公演 Zepp Namba
2019年11月2日(土)〜3日(日)

チケット
全席指定 8,800円
ご予約はこちら

公式ホームページ
gineiden.jp