変わらない



なまけものだなあ、と、自分のことを思っていた。

なんでこんなになまけものなんだろうと思い

きちんとお風呂に入り、あたたかくして眠ることから始めることにした。

しばらく経って、昨夜、お風呂の中で思い出した。

昔のわたしと言えば、自分の決まりごとの中で生きていて

1日のほとんどのことが決められていた。

起床時間
はじめにするストレッチ
朝食のメニューは毎日同じ
駅に行くまでの歩く速度
休み時間に宿題を済ます
帰路のリズムや歩幅
帰宅してまず顔を洗う
そのときの手順、水を顔にかける回数
夕食の時間…

おおまかなことから
こまかなこと
全部のことが決まっていて、そのリズムの中で生活していた。

こうじゃなきゃ、いやだった。

なまけものとは程遠く、
きっちりきっちりと動いていた。

だけど御察しの通り、これじゃあ誰かと関わるのは困難すぎた。

大学に入った頃から、これじゃいかんと
少しずつルールを緩和することにした。

そうして8年、ようやっと、ここである。

ようやっと、なまけものである。

でもこうして考えてみて気がついた。

決まりを作らなきゃ動けないというのも
一向に「なまけもの」の一種なんじゃないかしら。

やりかたがかわっただけで、中身はたいして変わってないんじゃないかしら。

もう、あーあ、である。

人はそんなに簡単に変わらないのだなと、実感。

あーあ、である。

わたしはそんな風で、いつもちょうどよく過ごせない。

だから、ちょうどよくありたいと思うし、おだやかでありたいと思う。

ちょうどよく、おだやかであれたときは、

いちいちことばにしてしまう。

常じゃないから、ことばにしてしまう。

そうしてたしかめて、大事にしまう。

そんでまた、忘れる。そんなことのくりかえしである。



それでも、人と関わることに前向きにさせてくれたのが
きっと、演劇だった。

自分の醜さや、過去の痛み
人を傷つけてしまう瞬間の卑しさ
いろんなことを見つめながら

それでも人と居られるのが演劇だったから

時々だれかがよろこんでくれるのが演劇だったから

今、わたしは、この仕事をしているんだと思う。

もっと素直に人を大切にしたいし

人を大切にする自分を信じたいんだと思う。




そんなことを、思い出している、初日。

いよいよ本日
舞台『わたしの、領分』開幕です。

わたしが演じる萩野は、
心理士として働きながら人と関わることを学んでいきます。

彼女としてすごして、

仕事を通して生き方を見つめていること
生きる日々を通して仕事をよりよくしたいと思っていること

わたし自身、実感しています。

わたしにとって、仕事って
そういうものなんだと思います。

仕事の、人生の、物語です。
ぜひお越しください。



練馬区文化振興協会 舞台芸術支援事業
『わたしの、領分』
脚本・演出 松澤くれは
2018年10月18日(木)〜21日(日)
大泉学園ゆめりあホール(駅直結)
公式サイト
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