かすかなかすがい

映画を観に行く。
この一本が人生を変えるとしたら
今この瞬間、その映画に出会うまでの私には
もう会えないのだなあとおもう。
だけどそこまで大きな衝撃って
ここ何年かで受けたっけ。
それは作品の良し悪しやつよさのはなしではなく
ああ、わたしもほんのすこし歳をとったのだな
ということなのかもしれない、とかんがえていた。
今でも思い出せるのは
大学一年の時に出会った本のこと。
あの本を読んだ瞬間は、マリオがキノコを食べた時のように
何を手に取ってもその何億倍にも輝かせて自分の中に取り込むことができた。
あのときに得た感覚が、二十代からのわたしをつくっているといってもおおげさじゃない。
そんな本に出会わせてくれたともだちってだれだっけ
とおもったら、思い出した。
語弊を恐れずに言えば、今も付き合いはあるけれど、そんなに仲良くはない、あのこ。
あのときも、いまも、ずっと、そんな仲の、あのこ。
あのこがそんなにおおきな出会いをくれたんだった。
おもえば大学生活を一番ながくすごした場所へ連れてってくれたのもあのこで
ええ、そうだったんだ。
今朝お風呂の中で思い出してびっくりした。
すきだったドラマの最終回はだいたい覚えてない。
あいまいな頃のことがいちばん全身で思い出せる。
あいまいのさきに、あのこはいたんだなあ。
千代將太 プロデュース公演
『 推定恋愛+ 』
@広尾 天現寺多聞ホール
2017年2月22日(水)〜26日(日)
なまえのついてない
たぶん、のひきだしが
おどろくほどたくさんの
わたしを、あなたを連れてくる
そんな短編集です。
ぜひお越しください。